ド田舎脱出計画20年物語

子育てしてると色々あります。全力で向き合います。ド田舎から大移動するまでを綴ります。

無難な男

結婚するなら無難な男

両親からの大反対で大好きな彼と別離した苦い思い出があるので

そんな思いをしたくないために

無難な両親が直ぐに了承するような

男と結婚する

そう決めて何となく

今もう出会っている人の中で

誰かいないものかと…


いたよ!

真面目

実直

ギャンブル無し

山奥育ち

農業系技術者

見た目山猿

学歴高卒

なんか童貞っぽいが

まぁ

いいんじゃない??


本当にこういう気持ちで

結婚相手を選んではいけない

相手にも失礼だし

何しろ自分の人生を半ば諦めている

当時の私に今は言いたい

そいつはダメだと


少しずつ間合いを近付けていき

先輩にその無難な男を

紹介してもらった


何となく母にこんな人がって話をした途端


高卒なの?

何考えてんの?

という答えが返ってきた

ふつふつと殺意と失意が交差した


もう

こうなったら

絶対結婚する

どうでもいい

なにやったって反対や文句を

言うんだから

悲しさと怒りで

その日は眠れなかった

荒れる父親

私が実家に戻り

父は長男で住んでいた家は社宅

その社宅からさらに過疎の土地が父の故郷だ

私はそこへは絶対行きたくなかった

そこは祖母が暮らしていた

祖母は長男である父を溺愛し

父の弟や妹たちはその事を恨んでいる空気を幼少から感じていた


なのでこの土地ごと私は嫌だった

父が息子に変わりさらに暴君となるからだ

今思えばだが長男という重責が

本当は嫌だったのだろう


生まれ故郷に家を作り祖母と住み

自ずと母は姑と同居し

面倒をみることが無言の了解のように

粛々と新築が建てられていった

父親は荒れていった

母ともそうそう会話も無くなり

生まれ故郷の地域へ滞在が増えた


父が幼少期から世話になっている人が家を建てることになったようで

地域から出ていない大工の建てる家なんて

体裁大好きな母親の好みの家のはずなどなかった

夫婦は60歳を過ぎ

転居することになる

棟上げで飲み会

週末は新築の様子を見に飲み会

母も疲弊し

父は暴君とさらに変化した

地域性なのかとてつもない閉鎖的な思考が父を支配していく

冷めた目で父を見ることが出来るようにもなっていったので

私は自分の許容が増えたことに

喜んだものだ


そして

私も何とかなりそうな

何とかして

どうにかしてくれそうな

とりあえず良さそうな

どうにでもなれな気持ちで

結婚相手を探しはじめる

既に顔見知りの方が

事が進むのは早いかもしれん

そんな気持ちで

本当は探してはならないが

当時の私はそうだった

自由な姉

先に姉が県外で結婚をしたが

なかなか子宝に恵まれない

そこらへんはもう口出し無用なのだが

最近も多いが口出し無用な無責任な放言が私は嫌いだ

人のことは言いたくないし考えるのも

嫌いだ


SNSへの悪意ある書き込みも

放言であり無責任だ


姉がなかなか懐妊とはいかず

姉は気にしている様子もなく


だがうちの母親は違う

既に私も気付いていたが

体裁や誰かからの目が気になる人

なのだ噂話も根拠のない話も

ゴシップ信者なのだ

そういう人が身近にいると

私のようになるのかもしれない

誰の言うことも

大したことは無い、生活に支障がないなら話題にもしたくない程だ


姉が懐妊しない理由を

憶測で食事時に語られると

苦痛の極みだ

父はこの頃から週に5日は飲み歩き

不在になっていく

理解できるがそれはおかしいのではないかと誰しも思うだろう

単なる逃げだからだ


好き勝手に放言したところで

懐妊しない

理由は自由を奪われるから

だという真実を姉から聞かされた

私は少しホッとしたものだ

姉も闇を持っていたそういう共通点があったという部分


娘であれ

夜の営みを根掘り葉掘り聞く

母親の情けない姿や言葉は

こんな人にはなりたくないという

実像を毎日見てしまう

これは耐え難い苦痛だった


何度も声を張り上げて

暴言を吐きそうになったが抑えた

少しでも暴言を止めている門を開けてしまえば、言葉だけでは足りず、手をかけてしまいそうだったからだ


積年の想いの門は

墓場まで開けてはならない

言い聞かせる毎日だった